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2022年6月28日 19:00

IsilonianTech 第23回 Golden Copy for PowerScale

連日暑い日が続いていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
ここ4回ほどSuperna社の製品の紹介が続いていますが、今回もEyeglass Golden Copyという製品について触れたいと思います。

データ資本(Data Capital)と言う言葉が浸透して久しいですが、ビジネスで所有できるあらゆる資産のうち最も重要なものはデータであり、その中心となる非構造化データは従来のファイルをはじめ近年ではオブジェクトやストリームデータも爆発的に増加しています。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)においても、いかにしてこれらのデータの価値を解き放つかがポイントになっています。

title.png

<古くからEMCストレージをご存じのかたは、Golden Copyと聞くとGold Copy/BCVを思い出されると思いますがコンセプトは似つつもアーキテクチャは異なります。>

 

PowerScaleを直接分析基盤としてご利用されている企業や団体も多くいらっしゃいますが、更なるデータ戦略においてPowerScaleに格納したファイルをオブジェクトに格納したいニーズも少なからず存在します。今回ご紹介するGolden Copyが、少しでもみなさまのデータ戦略やファイルとオブジェクトの運用におけるヒントとなれば幸いです。

 

 

 

1. Golden Copy概要

Golden CopyはPowerScaleに保存しているファイルをネイティブ形式のままディレクトリ単位でDell ECSや他社製オブジェクトストレージ、パブリッククラウドのストレージに高速にコピーする機能を提供する製品となります。ファイルのバックアップやアーカイブ用途だけではなく直接オブジェクトとしてアクセスできますので、ユーザはオンプレミスのオブジェクトベースの基盤にデータをコピーして分析を行ったり、パブリッククラウドへデータをコピーしてパブリッククラウドのサービスを用いたデータ分析やAIモデルの作成などを行うことが可能となります。

ファイルからオブジェクトへデータを転送する仕組みは世の中に幾つも存在しており先日リリースされたOneFS 9.4においてもSmartSyncが実装されましたが、Supernaならではのポイントとしては、スケジュール設定によるフルもしくは差分転送、ファイルの拡張子やディレクトリ単位でのフィルタ定義、オブジェクトからPowerScaleへのデータのリコール、Ransomware Defenderとの連携によるAirGap機能(Ransomware Defenderでイベントを検知した際は次回以降のデータコピーを実施しない)などが挙げられます。

また、Golden Copyは今までご紹介したSuperna Eyeglass製品とは異なり単独で動作することが可能です。1台(ノード)の仮想マシンのみで構成することが可能ですが、VAN(Virtual Accelerator Node)というスケールアウト構成が可能で6ノードから最大99ノードまでノード数を増やすことができます。その際、Golden Copy自体がロードバランサのような動作をしますのでDell ECSとの組み合わせにおいてもDell ECS側にロードバランサを配置する必要がありません。

今回は、Golden Copy 1.1.9(先日リリースされた最新バージョン)、OneFS 9.4、ECS 3.7(Community Edition)を用意して試してみました。

 

 

 

2. コピー先ストレージの準備(Dell ECS)

はじめに、コピー先となるオンプレミスのオブジェクトストレージもしくはパブリッククラウドのストレージを用意します。下記はDell ECSでの設定手順となります。

 

2.1 ユーザの作成

Golden Copyで使用するユーザを作成します。今回は"gc_user1"という名前のユーザを作成しました。

ecs1.png

 

2.2 バケットの作成

続いてGolden Copyのコピー先となるバケットを作成します。名前は"gc_bucket"として[Bucket Owner]に2.1で作成した"gc_user1"を追加して「NEXT」をクリックします。

ecs2.png

 

次に、[Metadata Search]を"On"にして、下記のようにメタデータタグを4つ追加します。

Type Name Data Type
User x-amz-meta-acl String
User x-amz-meta-group String
User x-amz-meta-mode String
User x-amz-meta-owner String

 

メタデータタグを入力すると下記画面のようになりますので「NEXT」をクリックします。

ecs3.png

最後に「SAVE」をクリックして終了します。これでコピー先のストレージの準備は終了となりますので、続いてGolden CopyのArchived Folderの作成に入ります。今回はGolden Copyの初期設定(ライセンスファイルの登録やPowerScaleの登録とライセンスの割り当て)は割愛いたします。

 

 

 

3. Archived Folderの作成

Golden Copyではコピー元やコピー先などの一連の情報を定義したものをArchived Folderと呼びます。Golden Copyの最新版ではArchived FolderをGUIを用いて作成することが可能になりましたので今回はGUIでご紹介いたします。

Golden CopyのGUIにログインして[Archived Folders]の画面に移動し、画面の右上にあるプラスアイコン(〇で囲まれた+)をクリックします。

gc_acvd.png

 

3.1 Cloud Settings

下記画面のようなウィザードが表示されますので必要な項目を入力します。(今回は必要最低限の項目のみ入力していきます。)入力後「NEXT」をクリックします。

  • Cloud Type… AWS、ECS、AZURE、GCS、OTHERから選択します。(今回は"ECS")
  • Bucket…上記2.2で作成したバケットを入力します。(今回は"gc_bucket")
  • Access Key…上記2.1で作成したユーザを入力します。(今回は"gc_user1")
  • Secret Key…上記2.1でユーザを作成した際のキーを入力します。
  • Endpoint…コピー先のオブジェクトストレージの情報を入力します。(今回は"https://ecs1.coffee.local:9021")
  • Endpoint lps…ECSをロードバランス構成で使用する際にECSノードのIPアドレスの範囲を入力します。

gc_prep1.png

 

3.2 Source Settings

続いてコピー元となるPowerScaleのディレクトリのパスを指定します。[Full Path]をクリックするとPowerScaleのディレクトリツリーが表示されますのでパスを選択後(今回は"/ifs/gctest")「NEXT」をクリックします。

IncludesおよびExcludesは、今回何も指定していませんが特定の拡張子を持ったファイルのみをコピー対象(もしくは除外)にしたり、特定のサブディレクトリを対象(もしくは除外)にすることが可能です。

gc_prep2.png

 

3.3 Schedules

続いてスケジュール設定を行う画面が表示されます。今回は[Incremental Archive Schedule]に1時間毎に実行されるようにスケジュールを設定します。設定後「NEXT」をクリックします。

gc_prep3.5.png

ちなみに、スケジュールは下記画面のようにGUIで設定が可能です。

gc_prep3.png

 

3.4 Advanced

次にAdvancedの画面が表示されます。今回は入力は行わず「NEXT」をクリックします。

gc_prep5.png

 

3.5 Smmary

最後にサマリの画面が表示されますので入力した内容を確認後「Create」をクリックします。

gc_prep6.png

 

なお、上記3.1から3.5までの設定をCLIで行う場合は下記となります。

 

searchctl archivedfolders add --isilon ps3 --folder /ifs/gctest --accesskey gc_user1 --secretkey 
  
    --endpoint https://ecs1.coffee.local:9021 --bucket gc_bucket --cloudtype ecs --endpoint-ips 
   
     --incremental-schedule "0 * * * *"
   
  

 

以上でArchived Folderの作成は終了です。スケジュールで設定した時間になるとジョブが実行されコピーが始まります。実行中のジョブはCLIやGUIで確認することができます。

 

 

 

4. Golden Copy GUI概要

最後にGolden CopyのGUIについてご紹介します。

 

ダッシュボード

トップ画面では、実行中のジョブのスループット、トータルでアップロードしたファイル数および容量が確認できます。また、[System Monitoring]ではGolden Copyの仮想マシンのリソース状況の詳細も確認できます。

gc_dashb.png

 

ジョブの状態

ジョブの履歴やアクティブなジョブを確認することができます。下記の[Archive History Jobs]では直近のジョブの実行結果として新たにコピーされたファイルが61個、61865984Bytes(59MiB)転送されたことが確認できます。

gc_history.png

 

クローン機能

Golden Copyの最新版では新たにクローン機能(Archived Folderのコピー)に対応しました。定義済みのArchived Folderを指定してクローンを行うことによりオブジェクトに関する情報やスケジュール設定などを引き継ぐことができます。下記は先程設定したArchived Folderを指定してクローンを行う際のスクリーンショットとなりますが、コピー元のPowerScaleのディレクトリとコピー先のバケット(下記の例ではFull Pathに"/ifs/gctest2"、Bucketに"gc_bucket2"を入力)を情報を変更するだけで簡単に追加ができます。

gc_cln.png

 

 

 

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安井 謙治
Dell Technologies│Unstructured Data Solutions
デル・テクノロジーズ株式会社 UDS事業本部 SE部

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