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2023年2月21日 23:00

④vSAN Express Storage Architecture (vSAN ESA) について

*こちらの記事は2023年1月に開催された[Ask The Expert]VxRail v8.0リリースのすべて!からの内容になります。


本日は vSAN 8.0 の新しい技術でもある vSAN Express Storage Architecture (vSAN ESA) についてご紹介したいと思います。

ちょうど一昨日ご紹介した12月に開催した 「VMware vSAN 8 Deep Dive !!! 」の Webinar コンテンツが本日公開されましたので、まずは以下のコンテンツをご紹介します。
※ 資料ダウンロードも可能になりました。

vSphere / vSAN オンラインセミナー#56 VMware vSAN 8 Deep Dive !!!
https://juku-jp.vmware.com/video/vsphere-vsan-os-056/

vSphere / vSAN オンラインセミナー#55 何が変わった?待望のメジャーバージョン VMware vSAN 8 を解説!
https://juku-jp.vmware.com/video/vsphere-vsan-os-055/



上記サイトの資料をダウンロードしていただけると分かるのですが、まぁかなりのボリュームの内容を1時間ぶっ続けで話してますのでかなりの情報量となっています…
詳しくはこれらに目を通して、となってしまうのですが取っ掛かりが合ったほうが良いので今回は vSAN ESA のポイント、特に「 vSAN ESA の IO 性能は激烈に向上してるよ!」ということを簡単にご紹介します。

vSAN OSA と vSAN ESA の違い

従来の vSAN (vSAN OSA) と新しい vSAN ESA の何が違うの?
というのは以下のイラストでご説明しています。

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大きなポイントは4つ

  1. vSAN データストアの単位は従来と同じくvSphere クラスタ単位でデータストア化
  2. 従来のキャッシュ・キャパシティの階層ドライブのディスクグループ構成ではなく ESXi ホスト単位のシングル Tier のストレージプール構成
  3. ストレージプールは vSAN ESA 向けに認定された All NVMe SSD (DWPD 3 以上、TLC セル)で構成
  4. vSAN 用ストレージネットワークは 25Gb 以上

ここに並べた項目だけでも、All NVMe で 25Gb ネットワーク !? ということでかなり高性能な構成が前提となっている事がわかります。

 

お客様からよく相談される点として、「従来の vSAN は無くなるの?」「従来の vSAN は vSAN ESA にアップデート出来るの?」というご質問があります。

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vSAN ESA はハードウェア構成からアーキテクチャがまるっと刷新されたため既存 vSAN (vSAN OSA)を vSAN ESA へアップグレード(インプレースアップグレード)はサポートされず
新規で vSphere 8.0 / vSAN 8.0 を導入いただく際にご利用いただける vSAN の "オプション" の一つとなります。

既存環境からのワークロードの移行は、既存クラスタの隣に新規に vSAN ESA クラスタを導入し、クラスタ間で vMotion などで VM 移行をしていただけます。

従来の vSAN でも十分高いストレージ性能を出せておりましたが、今回の vSAN ESA は更に超高 IO ・低遅延 IO を利用出来るように、最新のストレージハードウェアに合わせて vSAN ソフトウェアアーキテクチャが刷新されたのが今回の一番のアップデートとなります。

vSAN ESA はより高速な IO を提供するための上位 vSAN オプションであり、vSAN OSA も今後も提供されますので、要件・用途に応じて適材適所に選ぶことが可能です。

 

vSAN ESA の内部的なデータ可用性・容量効率性・IO 性能の両立について

vSAN ESA は All NVMe が前提となり、従来の SAS/SATA ドライブを利用した場合と異なり IO Queue が劇的に拡大し、より高並列・高速・低遅延な IO を前提とするストレージに進化しました

それを実現するためのアーキテクチャも刷新され、NVMe ドライブそれぞれの内部を Performance-Leg と Capacity-Leg と Meta Data  の領域として使う仕組みになりました。

※ キャッシュドライブが不要になったので、その分のドライブスロットもキャパシティを兼務する NVMe ドライブに利用できるようになり ESXi ホスト毎の容量効率も向上しています。

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この Performance-Leg と Capacity-Leg  が vSAN ESA の性能と可用性を高いレベルで両立する要の技術となります。

仮想マシンから発行された IO は、まずは FTT で指定した可用性レベルに基づき RAID1 (Miror) で P-Leg に書き込まれ、その後非同期で C-Leg に RAID 5/6 のフルサイズのストライプ幅で書き込まれます

イメージとしては vSAN OSA のキャッシュ・キャパシティの2層に近い仕組みですが、高 IO 帯域と 高 IO Queue を持つ NVMe ドライブの内部に2つの領域を保持し、データを効率よく処理します。

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この仕組はアニメーションを含めた説明があったほうがわかりやすいので、詳細については冒頭に記載した VMware vSAN 8 Deep Dive !!! を参照願います。

従来の vSAN OSA で RAID5/6 などの Erasure Coding を利用すると、外部ストレージの RAID5/6 と同じく書き込み IO 毎に Erasure Coding のパリティ計算をしていましたので、パリティ計算時の所謂 Write Penalty が発生するので性能面で RAID1 と比べると劣化を考慮する必要がありました。

vSAN ESA では P-Leg と C-Leg で構成される 2層構造が C-Leg に書き込む際の RAID5/6 でのフルストライプ書き込みを行うことで、IO 毎のパリティ計算を排除し、RAID のフルストライプ分のデータが P-Leg に蓄積されたタイミングで C-Leg にフルストライプ書き込みを行います。

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これにより、vSAN ESA では RAID 5/6 の容量効率を得ながら、書き込み IO 性能は RAID1 と同じく低遅延・高速な処理が可能になりました。 

ちなみに RAID1 構成を利用する場合も P-Leg と C-Leg は使われますが、上の図にあるように必ず一部はズレて合計で奇数台の ESXi にデータが配置される仕組みになるので vSAN OSA で存在していた Witness Object は不要となりました。(2Node Cluster や Stretched Cluster では Witness Appliance は利用) 

 

もう一つ、vSAN ESA では高い性能を発揮しつつ、ESXi ホストの CPU 処理を削減する仕組みを実装しました。

それは圧縮・暗号化・チェックサム計算など vSAN OSA ではデータを格納する前に各 ESXi ホストで CPU を利用して処理していた各種データサービスを、
vSAN ESA では仮想マシンが稼働する ESXi ホストで、仮想マシンから IO を受け取ったタイミングで "その ESXi ホストで一度だけ" まずは圧縮 → 圧縮して削減されたデータを暗号化 → チェクサム計算を行い、その後に各 ESXi ホストに圧縮済みデータを配送する仕組みを実装しました。

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これにより、従来は分散されたデータ毎にデータサービスの処理で CPU が消費されていたところを仮想マシンが稼働する ESXi ホストで1度処理するだけでよくなり、転送データ量も削減され、クラスタ全体で高レベルで効率化されました。

この CPU 負荷を抑える仕組とあわせて、そもそもの IO 処理性能がホスト CPU に依存せず ドライブレベルで高い処理性能の NVMe SSD 、そしてオプションでありますが vSAN ネットワークに RDMA (NVMe over Fabric) を利用できれば、ESXi ホストの CPU 負荷を劇的に下げ、効率よく仮想マシン側にリソースを割くことが可能です。

 

今回も長文になってしまいましたが、vSAN ESA はどう性能向上を果たしたか?という観点でアーキテクチャをご紹介させていただきました。
圧縮・暗号化などのデータサービスについての詳細は次回以降でご紹介したいと思います。



 

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